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このサイトを運営しはじめてもうすぐ丸5年になろうとしています。

この間、何人もの方からMicrosoft Office関連の、書籍化案件や、書籍執筆のお話をいただいています。

しかし、結局一度も実現には至っていません。

これは私なりのこだわりが相当あることも関係しており、一度ここで私の考えをまとめておきます。

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基本的な考え方

まず、Office関連の書籍は既に世の中に大量に存在しているわけで、既存書籍との何がしかの差別化がはかられるものでなければ、今から新たに出す意義はないと思っています。

現在、Office関連の操作で疑問が出てきたときに、その解決方法を得るのに、書籍よりWebのほうが優れているといえるでしょう。そんな今あえて書籍を出すのなら、Webに勝る何らかのエッジを持ったものでなければならないと考えています。

経済的側面

リーチできるユーザー数(読者数)として、今私のサイトでは、月間数十万のユニークユーザーがあります。

これに対してOffice関連書籍の初版は、せいぜい3000部から5000部程度でしょう。

収入面は印税率がいくらに設定されるか、書籍の販売単価がいくらなのかにより大きく変動しますが、おそらく初版の印税収入はせいぜい20万円前後でしょう。

書籍単価:1500円、初版販売実数:3000部、印税率:5%で掛け算すると、印税額は22万5000円です。

実際に書籍を出すとなると、相当なパワーが必要です。

1冊の本を出すのに、著者がどれくらいの時間を要するのか不明ですが、少なくとも150時間から200時間程度はかかるんじゃないのか、と推測しています。

このサイトの一つのネタを書くのに、動作検証を含めると平均1時間程度は必要です。

このサイトの一つのネタを書籍の1ページにするような書籍化企画を想定すると、純粋に動作検証と執筆に必要な時間はページ数と1時間を掛け算すれば算出されます。

更に書籍とする場合に、全体の構成を考えたりする時間、各種打ち合わせの時間などが加算されると、ページ数によりますが、最低限150時間から200時間程度見ておくことが多すぎるとは思えません。

これと先の印税収入とを考えると、時給換算したときに1000円を切ってしまう可能性もあるわけです。

また他にやるべき仕事、やりたい仕事が存在すると、150時間から200時間を書籍執筆に費やすことで、別の仕事の機会損失にもなります。

人数や収入というのは、書籍出版・書籍執筆のインセンティブとしてまったく働かないのです。私にとって。

書籍を出すということは、はじめから私にとっては採算を度外視した行動にならざるを得ないのです。

採算度外視の行動を共にすることになる編集の方には、このことを十二分に了解していただく必要があります。

編集の方が、サラリーマン的な論理を持ちだされたとしても、採算を度外視した、サラリーマン的論理と無関係なことに向かおうとしている私が、そのすべてを納得することはなかなか難しいでしょう。

書籍を出すことは偉いことなのか

私が書籍を出すためには、直接的経済効果以外のインセンティブが必要です。

世間では、書籍を執筆するということ自体スゴイと考える方もいらっしゃるでしょう。

しかし今の私には、書籍を出すこと自体がスゴイ・偉いといった価値観がまるでありません。

昔、出版社や印刷会社でアルバイトをしたこともあり、その現場について多少なりとも知識があることが関係しているかもしれません。

このサイトを通じて、既に数多くの方にリーチしている現実があるということも関係しているでしょう。

書籍をきっかけとした別のビジネス展開

直接的経済効果でインセンティブがはたらかないとしても、書籍を出したということで、インストラクターとしての仕事が増える、単価を上げられる、といった間接的経済効果があるかもしれません。

しかし今の私には、いわゆるパソコンインストラクターの仕事をこれからもバンバンやっていこう!という意識は残念ながらありません。

既に別のステージにシフトしはじめているのです。

IT・パソコン関連の講師を行う場合、あくまでもパソコン(特にExcel)を道具として利用する、本筋は別のところにある講座のほうにシフトしていこうとしています。

そういった講座につながるような書籍を出版するという考えもあるでしょうが、その場合も今の私には、書籍よりはまずWebで行うほうがそそられるのです。

書籍化のための糸口

直接間接的経済効果、書籍を出すということ自体がインセンティブにならない私にとって、その書籍全体の企画がどれくらい興味を持てるか次第になります。

ここでいう書籍全体の企画は広い範囲を意味しています。

全体の構成・狭義のコンテンツ・純粋なグラフィカルデザイン・本のサイズや厚さや重さ・紙の質・価格すべてを含んで考えています。

先日「小説家はレイアウトまで責任を持て!」という記事に
『文章を書くことだけが小説家の仕事ではなく、文章の改行や改ページ、字種、書体の選定まで含めて、読者に「観せる」ことが小説家の仕事だと考えている』
と書かれていました。

この「小説家」を「著者」として
『文章を書くことだけが著者の仕事ではなく、文章の改行や改ページ、字種、書体の選定まで含めて、読者に「観せる」ことが著者の仕事だと考えている』
読み替えると、私の考えに近いと感じられます。

具体的な可能性

例えばこのサイト「インストラクターのネタ帳」をベースに書籍化するのなら、このサイトの持つ弱点を補完するような書籍であるならば、私にとってインセンティブとなることが想像されます。

キーワード検索では、書籍がWebに勝つことは難しいですが、ブラウジング性は書籍のほうが優位だと私は考えています。

このサイトは、通読するということにまったく向いていません。
通読するに値する、或いは何らかの仕掛けを施して、読者に書籍ならではのいろんな読み方の可能性を提供するようなものなら、魅力を感じられます。

もう一つ、2008年今から「インストラクターのネタ帳」をまったく新規にはじめるとしたら、どうしただろうかという視点もあります。

このサイトをはじめた当初、Officeは2003までしかリリースされていません。

しかし今は、2003までのOfficeとはインターフェースのまったく異なるOffice 2007が存在しています。

2003までのOfficeと、2007を併用しなければならない現実が存在しています。

今からまったく新規に「インストラクターのネタ帳」をはじめるのならば、この併用環境に対して応用力のある情報提供を行うことを、考慮するはずです。(これは2003までの操作と、2007での操作を併記するという短絡的なことではありません。)

こういった視点を持った書籍は現存していないようなので、魅力を感じられるんじゃないかと思うのです。

書籍化・書籍執筆をご提案いただく方へ

書籍化・書籍執筆のお話をいただくことは、いつもいつも非常に光栄なことだと思っております。

しかし上記のようなこだわりが、私には非常に強く存在しております。

ここに書かせていただいたことに対する、相当に具体的な提案がなければ、私が首を縦に振ることは考えにくいのです。

今後、書籍化・書籍執筆についてご連絡いただく場合、上記の内容をよく吟味いただいてからにしていただくほうが、お互いに時間と労力を無駄に済むと考えております。

ご理解とご検討のほど、よろしくお願いいたします。

この文章をお読みになった方で、気分を害された方がいらっしゃったとしたら、本当に申し訳ございません。もう、多くの方の時間や労力を無駄にしたくはないのです。

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